血尿精密検査
血尿精密検査
学校や職場の健康診断で血尿を指摘されることが増えています。血尿は一般的に、肉眼的血尿と顕微鏡的血尿に分けられます。
尿が赤くなるほど血液が混じっていれば肉眼的血尿として、検診をうけるまでもなく異常とわかりますが、わずかしか血液が混じっていない場合は検尿をしないとわかりません。血尿の診断としては、直接尿を顕微鏡で観察して赤血球が混じっていないかどうか調べるのが確実な方法です。
血尿の原因には糸球体腎炎、運動後の血尿、尿路感染症(腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎)、腎結石、尿路結石、尿路腫瘍(腎がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん)など様々な要因が考えられるため、特に、尿路腫瘍などが疑われる場合は早期に、超音波検査などの精密検査が必要な場合があります。
腎疾患 | IgA肾症(※1)、糸球体腎炎、間質性腎炎、多発性嚢胞腎、腎嚢胞、海綿腎、賢結石、腎腫瘍、Wilms腫瘍、腎外傷、腎結核、膿腎症、遊走腎 |
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腎孟疾患 | 腎盂腎炎、腎盂結石、腎盂腫瘍、腎盂外傷、水腎症 |
尿管疾患 | 尿管炎、尿管狭窄、尿管結石、尿管腫瘍、尿管外傷、瘤尿管周囲炎 |
膀胱疾患 | 膀胱炎、膀胱腫瘍、膀胱外傷、膀胱異物、膀胱エンドトメトリオーシス |
尿道疾患 | 尿道炎、尿道狭窄、尿道結石、尿道外傷、尿道異物、尿道ポリープ、尿道腫瘍、前立腺炎、精嚢腺炎、包皮腫瘍 |
全身性疾患 | 出血性素因 |
※1) I g A腎症とは?
IgA腎症という病名を聞き慣れないかもしれませんが、日本での慢性腎炎の半数はこの病気です。IgAとは免疫グロプリン抗体Aの略称で、気管支、腸などの粘談を外敵から守っています。この障壁が弱いと、粘膜に感染した病原体の一部とIgAが免疫複合体を作って血液中に入り、腎臓にたまり少しずつ炎症をおこします。IgA腎症は必ず顕微鏡的血尿がみられますが、上気道炎、扁桃炎、腸炎(下痢、腹痛)などで38.0度を越える高熱を伴うときコーラ色の肉眼的血尿を出すのが特徴的です。
長期的にみると全体で3割くらいが慢性腎不全に移行してしまいますので、必ず定期的に泌尿器科を受診してください。